2012/02/24

自転車屋さんへのお手紙


僕は殆どの作業を自分でやってしまう。ヘッド周り、BB周りの圧入とタップ、フェイスカット以外は全てだ。

こういった特殊な人間だが、長い間自転車屋さんに出入りしていると色々と気になる所も見えてくる。

今回はあくまでも"一般的な"ユーザー目線で自転車屋の問題点について触れてみようと思う。

注)"一般的な"ユーザー:自分では日頃のオイル差しと洗車くらいしかしないユーザー。


まず、プロショップに入る。

殆どのショップで「いらっしゃいませ」と言われた事が無い。大きなショップでは無理だろうが、個人経営のお店なら言って欲しい。言われない場合は望まれない客なのかな?と身構えてしまう。常連と楽しく話しこんでいても、絶対に「いらっしゃいませ」は言うべきだ。「こんにちわ」でも良いし、とりあえず挨拶は基本だ。

店頭に展示してある完成車やパーツを見る。多くは見辛い。何処に何が置いてあるか、その商品が幾らか、オススメなのか、何も解らないショップもある。

たまに途方にくれて見回していても、お店の人が話しかけてくる事は稀だ。ユーザーがお店に行く場合、プロと会話したかったり、何かしらの問題を抱えているから行く事が多いはずだ。暇だからフラッと行くようなお店はワイズやウエパーなどの大型店舗だけだろうw。個人店に行くなら、必ず目的があって訪れているはずだ。

作業に追われていたりするのでなければ、足が止まったり、見回している時には話しかけてあげてほしい。そうする事で購買意欲に結びつく事もあるはずだ。お客さんが話をしたくなさそうなら、「ゆっくり見ていってくださいね(はーと)」と言って作業やネットサーフィンに戻れば良いだけなのだ。

そして、多くの自転車屋は料金体系が明確では無い事が多い。細かい作業をお願いしようと思っても工賃が解らず、「やってみないと解らない」と言われてしまうと、一体幾ら請求されるんだ?と恐ろしくなってしまって、最終的にホームメカニック路線へまっしぐら☆というユーザーも多いはずだ。それならば、A4サイズの紙に工賃と所要時間をプリントアウトして、ラミネート加工したものを店内に置いておけばユーザーは作業を頼みやすくなるはずだ。ラミネート加工など、一手間かけるだけで見栄えが大きく変わるので、店内の展示にはこういった細かい所にも気を使う必要がある。見ているユーザーは見ているものだ。一手間入れるだけでユーザーの食いつきは大きく変わってくる。その為だけのアルバイトを雇うのも手だ。それこそ女の子のアルバイトを雇えば、一気にお店のセンスが良くなる。センスの良い男の子でも良い。その辺り、自分で無理だと思えば、「これだけの売り場改造で幾ら」という頼みかたをしてもいい。こういう事をやりたい芸術系の学生やこういった事が得意な学生はゴロゴロ居る。それこそ自転車乗りの子に頼めばバイト代は現物支給でも良いわけで、頼む側の負担も軽く出来ますw。

そこで、必ず作業の前には「見積もり」を作って欲しい。僕はこれで何回か大失敗している為(こちらが想像していた以上の請求額を受けるが、作業が終わっているため払うしか選択肢が無い)、見積もりを紙で出力してくれないショップに纏まった作業を依頼することは無い。一見面倒に思えても、エクセルでテンプレートを作ってしまえば、数分で出力可能だ。モノクロでプリントアウトすれば印刷代もさほどかからない。

工賃に関しては、この辺りのページを参考にして欲しい。こういったお店は作業工賃を公開することで、明らかに作業を頼みやすくしている。

ベルエキップ
NRS
フクイサイクル

そして、お店を出るときも何か言ってあげて欲しい。何も買わなかった時に無言のまま送り出されると「望まれない客なんだな~。というか無愛想だな~。もう行くの辞めよ。」とおもわれるのが関の山だ。一言「(見に来てくれて)ありがとうございました~」と言うだけで、そのユーザーの中でのそのショップに対する評価は上がる。

こういった細かい気遣いをするかしないかというのは一見無駄に見えるかもしれないが、長期的に見ると必ずプラスになる。海外通販の一般化が恐ろしいほどになってしまった現在、リアル店舗に足を運ぶ場合は必ず"何かを早急に用意しなければならない"or"何かとっても困っている"場合が多い。値段では絶対に勝てないのだから、こういった人と人とのコミュニケーションをベースとした商売をやっていくしかない。

更に、値付けも大事だと思う。もちろん、定価販売は正しいが、ユーザーには1円でも安く買いたいという意識がある。下1桁を切り下げるだけで良いのだ。モノによっては下2桁を切り下げたって良い。これによって潜在的な消費者が見つかれば良いじゃないか。ちなみに、有名なドン・キホーテは下1桁(正確には4円以下)を無視する(レジ横に1円玉を置いておく)事で売り上げが急激に伸びたという話も聞いた事がある。中途半端な値下げをするくらいなら定価販売で…というのは必ずしも間違ってはいないが、今後は見なおしても良いと思う。個人的には下1桁,2桁の切り下げは細かい釣銭を用意しなくて良い為、釣銭の両替にお金を使うよりは良い方法では無いか?と思っている。

もしくは購入金額に応じて割引率を決めていっても良いと思う。この辺りは色々な提案が出来そうだ。

最後に、店の不良在庫とはしっかりと向き合うべきだ。不良在庫は手元にあればマイナス、少額ででも売る事が出来れば、マイナス額が減る。小売店でキャッシュ・フローが止まるというのは致命的だ。"損切り"を恐れるとどんどん悪いスパイラルに突入する。在庫処分セールは毎年キッチリ行うべきだ。そして、3年以上在庫している商品に関しては仕入れ値以下での叩き売りも検討していくべきだろう。売れなければ仕入れ値分の全てがマイナスとなる。多少でも値段をつけて売れればマイナス額が減る。そういった割り切りは結果的に大きなプラスを生み出す。

自転車業界を取り巻く環境は急速に、しかし確実に変化してきている。その中で、「お店のコンセプト」「お店がターゲットとする客層」「お店が利益を上げる方法」をキッチリと確立して行くことが重要だ。国内屈指の技術力を持つショップがバタバタと経営規模を縮小する時代。"ユーザーが何を求めているか"ということを考えない店舗はヤバイ。

「解らないからやらない」では無く、「とりあえず、一回やってみる」の精神が大事だと思う。守りの姿勢で生き残ることが出来る時代は既に終わっている。これからは攻めの姿勢が大事だ。

P.S.
出来れば、走行会は月2回ほどやって欲しいと思っています。その時間に儲けは発生しませんが、走る機会を提供することで、一緒に遊ぶ仲間が増え、結果的にその店への定着率が上がります。体力的にキツイなら、イージーライド班とガチ班を作って自分がイージーライド班のサポートに回れば良いだけのこと。もしくは無理せずバイトを雇う。バイトを雇うだけの体力が無いという意見を聞くことがありますが、バイトを雇って仕事を効率化し、仕事を増やせば良いのです。さらに、バイトを雇えばその人の周りの人間も客になってくれる可能性があります。最初は短期でも良いのです。マンネリ化したショップのブレイクスルーになるでしょう。

というか、参加費を取っても良いから走行会はやったほうが良い。乗る機会が欲しいお客さんは沢山居るはずです。走行会の企画方法によっては購買意欲をかきたてることも可能です。頑張れ店員さん!走ってくれ!w


と、経済は完全に専門外の人間が書籍や周りの人から得た知識をかき集めて書いてみました。専門家から見れば至らない所もあるでしょう。しかし、僕のようなプロとアマチュアの狭間にいる人間しかこういう事は書けないと思い、書かせて頂きました。僕の見解の訂正や代替案などがあればコメントで指摘して頂ければ幸いです。

次の記事はユーザー向けの「お店に喜んでもらえるお客さんになる方法」を予定しています。

8 件のコメント:

  1. マジで藤原氏一体何者だって言うレベルだよww
    ビジョン・考え方が並じゃねえw

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    1. どうもです。
      ただの大学生ですおwww
      いやいや、もっともっと考えていきたい所ですw。並じゃ生き残っていけない時代が来たらgkbr

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  2. こんばんは、ご本人様のブログでは はじめまして
    あきらと申します。
    『「解らないからやらない」では無く、「とりあえず、一回やってみる」』これって とても大事です。
    大概の業種で当てはまることではないでしょうか。
    私自身、昼間は食品製造業 夜は本屋のマネージャーとして働いておりますが、どちらも『お客様が何を望み、どうやってソレを見抜くか。』そのためにどう自分たちが動くか。どう考えるか。どうすれば出来るようになるか。
    いわゆるPDCAを続けていく、エンターティナーとして自分を捉えることも必要だと考えております。

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    1. あきらさんどうもです。
      「とりあえず、一回やってみる」というのは、資金や体力的にキツイという意見が多いように感じます。しかし、それはどの業種でも同じこと。
      "エンターティナーとして自分を捉える"、非常に興味深い意見、ありがとうございます。
      今後もよろしくお願いします。

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  3. 多分"一般的"ユーザーなわたくしです。一台目買ったお店は向こうから売りにきてくれて助かりました。右も左もわからんし、こういうお店に入るのも初めてですし。メンテナンスもフリーでしてくれたので二回目以降も行きやすかったですね。最近は行ってないですけどw。
    「見積り出さない」ってのが言われてみれば考えられんことですよねぇ…。家建てるときに建ててからこんだけかかりましたって請求するようなもんですからねぇ…。そらちょっとおかしいですよ。業界の常識、一般の非常識、というか。

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    1. どうもです。確かに、非常に"一般的"なユーザーですね。やっぱ、気持ちの良いお店には行きたいですよね。でも、近さとか値段のこととかもあるので難しいところですがw。

      "見積もり出さない"って未だに多いんですよねw。100円とか取っても出すべきだと思うのです。ネットをベースにしてるお店がトラブルを起こさないように作るだけで、普通のお店は工賃なども根拠の無い計算などで請求しているようなお店があるように感じます。

      僕も一応、建築畑に居たのでその辺りは厳密にやりたい人ですねw

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  4. 藤原くんこんにちはー。タイヤ交換も一人じゃできない一般的なユーザーですw
    この記事ほんとに自転車屋さんによんでほしいですよ!簡単に着手できそうかつ効果的な具体策満載で。とりあえず挨拶は基本ですよね。確かに挨拶してくれなかったり無礼な店員さんも多いような…。

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    1. えりさんどうもです。ブログにコメント頂けて非常に嬉しいですw。
      全てがそうだとは言えませんが、一部の自転車屋さんの接客態度や経営姿勢には疑問を感じてしまいますねw。でも、素敵な自転車屋さんもあることは事実なので、皆さんがそういった素敵な自転車屋さんと巡り会えるよう祈っていますwww

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