2012/07/30

2012 London Olympics Cycle Road Race

プレオリンピックで圧倒的な強さを見せたGBとカベンディッシュ。レース後のコメントからも落胆が感じられました。
しかし、彼らは精一杯戦い、その結果負けました。記録には残らずとも、記憶に残る偉大なレースとなったと思います。


優勝は黒い噂の絶えないヴィノクロフ。個人的にはあまり好きでは無い選手なので(T-Mobile時代から彼のよくわからないタイミングでのアタックはアシストとしてどうかと思っていたw)どっちでも良いw。機材ヲタクとしてはスペシャライズド社初のオリンピック男子ロードレース制覇ということに注目したいですね。

そして、今回のオリンピック最大の注目ポイントはGBチームが使用したオリジナルバイクでしょう。以前から一部では注目を集めていましたが、詳細をまとめてみましょう。

まず、この自転車はイギリスで手作りされているバイクのようです。生産数は非常に少なく、2007年まではGBチームにしか提供されていなかったようですが、UCI規定の変化により、公式に販売され購入も可能とはなったものの、あまり流通していないことは容易に予測可能です。
一応、ここにラインナップと連絡先が書いてあります。

この自転車、設計上の最大のポイントは1インチフォークを使ったり、ステム一体型のハンドルを作るなど、極限まで前面投影面積を減らしていることでしょう。しかも、剛性を上げ、空力を良くする為にフレーム自体が非常に小さく作られています。現時点ではカムテール形状では無いバイクとしては最高の空力性能を持っているかもしれませんね。ほぼプロトタイプと言っても良いバイクなのに、キッチリと3kカーボンで表層を化粧してあるのが興味深いですw。

ちょっとマニアックな人はここでスイスのワルサー社のバイクを思い出すかもしれません。ぶっちゃけ、最初にこのバイクを見たときは「又ワルサーが訳わからん自転車作ったのか(;´Д`)」と思ったくらいよく似ていますw。ちなみに、ワルサーのTTバイクはQファクターが通常より狭く、リアのエンド幅が110mmとなっているなど、現行の全てのTTバイクの中で未だにトップクラスの空力性能を持っていると聞いています。

クリス・ホイの豪脚を支えるだけの剛性があるようで、机上では最強(最狂)の自転車となっていますw。トラックバイクをベースにしているとのことで、振動吸収性はあまり良くなさそうですね…

Wigginsの実車はこのページに載っていますが、トコトン突き詰めてるなぁ…としかコメント出来ませんねw。

PINARELLO社の自転車を用いて結果が出ていたのに機材を変える意味が全く解らないですが、オリジナルバイクをチーム全員分作ってまで勝ちに来た…というイギリスの本気が垣間見える一例だったと思います。

ちなみに、チームSKYがピナレロの自転車を使っているのはスポンサー費用が非常に高いからだと僕は考えています。そういったことを考えないのであれば”オール イングランド”を謳うチームSKYが自国のブランドを使用しないことに対する説明がつきません。イギリスには後述するボードマン含め、ラレーやその他のメーカーがいくつかあります。バイクもイギリスのメーカーのものを使って欲しかったですねぇ…。

ちなみに、このバイクは2002年前後から開発されているようで、10年ほどの試行錯誤の結果だとも言えるでしょう。Dimitris Katsanisというギリシャ人が設計/製造に関与しているようですが、初期の設計にはボードマンも関わっているようですね。このギリシャ人、チョロッと調べてみた範囲内ではBoardman BikesのR&Dにも関わっている…とかいう情報もあったりします。どこまで本当か解りませんが、中の人がここで書き込みをしていますねw。”Dimitris Katsanis”でページ内検索をかけてみてください。

後日、記事を書くつもりですが、個人的にBoardman Bikesの自転車は非常に高く評価しています。フレームの基本性能が恐ろしく高い、ガチな競技用機材です。メカニック目線だと、ワイヤーがフレーム内蔵じゃなかったらもっと良いのになぁ…と思ってしまいますが(;´Д`)

というわけで、現時点で公開されている情報をまとめてみました。また続報があれば記事にしていきたいと考えています。

【追記】
この自転車の写真を見ていて気がついたことがあったので追記しておきます。
非常にフレームサイズが小さく見えますが、トップチューブを下にオフセットしているからですね。これは、シートクランプ辺りの乱流を減らすための工作だと考えられます。90年代中盤にピナレロがワンダーバイクやエスパーダで取った方法を現在のUCI規定に沿うよう解釈した方法です。
現在、各社が色々なアプローチを取っていますが、この自転車に関しては1世代前のエッセンスばかりが見受けられます。
しかし、性能が低いか?と言われるとそうでは無いでしょう。"のりりん"という漫画にもありましたが、古い時代のモンスターマシンのエッセンスは決して色あせてしまったわけではありません。むしろ、空気抵抗削減の為の基本に非常に忠実だと言えます。最近のフレームは、「基本は解っているけど、ちょっとズレたアプローチでもっと効果を得られないかな?」というスタンスが多く見受けられますので、データを取ってみるとこのバイクは現行の新しいロードバイクよりも数値が良いのかもしれません。

【追記2】
乱流を減らす〜という記述を上で書きましたが、この動画の2:50付近に自転車に発生する乱流の場所が視覚化されている映像があります。参考になると思います。

【追記3】
値段は£27,509.53 + VATだそうです(;^ω^)

この変な自転車について、続きはコチラ

5 件のコメント:

  1. これ、ちょっと調べてみたらトップチューブにバッテリーが内蔵されているそうで。。 バッテリーをトップチューブに配置ってどうなんでしょうね??

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    1. ソースはありますか???トップチューブへの配置は常識では考えられないですよねぇ(;^ω^)

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  2. じーなか2012/08/07 0:14:00

    https://p.twimg.com/AzSatLICEAA3vof.jpg この写真をみるとボルト止めで開くようになってるんですよ このカバー(ふた?)とフレーム自体の色合いが若干違うと思うんですが、個人的にはここに純正、もしくは社外製の形状の工夫されたのが入ってると思うのですが。。 
    ここに入れるものって思いつきませんし。。

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    1. これはシートポストの固定クランプだと思ってましたw。多分、バッテリーはシートポスト内蔵だと思いますよん

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  3. じーなか2012/08/07 0:21:00

    えっあっ、これってISPじゃないんですか。。。 
    あ、違うか。。。

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