2021/12/07

Tribute to NRS; Neutral Racing Service/橋本 武彦

 橋本さんの奥さんから「そろそろ書いて良いよ。」と言って頂いて追悼記事をアップしています。




2021年2月中旬にNRSの橋本さんが亡くなりました。出会った当初より、体調が悪いという話をずっと聞いていました。非常に残念です。

ニュートラルレーシングサービスもそれに伴い、閉店することとなったとのことです。様々な意見があったようですが、ニュートラルレーシングサービスというショップは橋本さんが居たからこそ成立していたショップですので、個人的にはそれで良かったと思っています。

カルトショップという認識をされているNRSですが、実際の橋本さんは新たな可能性を吟味し取り入れるかを鑑みて決断するその繰り返しで、常に自問自答し現実と向き合い、逃げないで立ち向かう人でした。速く走ることが出来るようになるものはいち早く取り入れ、最近は電動油圧ディスクブレーキの自転車を積極的に推奨し、パワートレーニングで劇的に体質改善が出来たという話もしていました。また、sapimがカーボンスポークを出し、CADEXがカーボンスポークのホイールを出して以降、それまで組んでいたラージフランジハブの手組みカーボンディープリムホイールよりもイイとハッキリ言い、ホイールを殆ど組まなくなってしまったのは記憶に新しい所です。(ライトウェイトは硬すぎて使いにくいということも認識されていたことはここに記しておきます。)もし、手元にSTREETFIGHTER、SUPER ZIPP、D-ZIPP、WindRunner RR1.1D、SUPER ENVEなど、彼が組んだ自転車とホイールがあったらその素晴らしさを語り継いでください。大阪市のホイール組みで非常に有名なショップの方が「精度に関しては彼のホイールを超えることは出来ない。あそこまで追い込むのは無理。」と仰っていたとかいないとか。偏執的なまでにこだわり抜いた、高精度な手組みホイールの1つの到達点です。

自転車整備に関しても一切の妥協を排除した組み立てで、カチッとしたフィーリングが記憶に残っています。



ニュートラルレーシングサービスという存在を知ったのは2008年頃でしょうか。2011年前後のK2T2立ち上げ、名古屋BBQなど自転車関係の繋がりはインターネット上の繋がりだけではなく、師匠と弟子のような立場でありました。組み立て方、ポジションの出し方など吸収させて頂きました。カステと2人でNRS旧店舗に伺ってSUPER ENVEの試乗をさせて貰ったり、ディレーラーマニアのもつなべくんが来てくれたり、インターネットを通じて知り合いましたが、いつの間にか周りの人を巻き込んで大きなムーブメントを作っていった記憶があります。

プライベートでも親交があり、当日朝にCR-Zで事故ったまま、フロントバンパーベコベコのまま岐阜まで遊びに来てくれたり、「今度結婚するんだわ」という連絡受けたり、東京の中華料理屋でご飯を食べたりしたのが懐かしまれます。万が一の事があった時に連絡をして欲しい人間の1人として奥さんに僕の連絡先を渡してくれていたようで、亡くなったという連絡を貰ってすぐに西宮に向かいました。道中、あけおす友の会のメンバーに連絡を入れたこともここに記しておきます。

2~3月はコロナウイルスの状況が再度悪化したタイミングであり、自分がある程度身軽に動くことが出来た為、その後西宮に1週間ほど泊まり込み、預かりの作業車体を元のオーナーに返却したり、納品が出来る状況にする手伝いをしてきました。非常にキッチリと情報が残っており、橋本さんの几帳面さを再確認しました。


本来は日本のロードレースの最前線にいらっしゃるような方であるにも関わらず、僕のような若輩者にも丁寧に対応してくださり、トレーニングや機材に関する様々な知見をシェアしてくださったばかりか、整備手法についてのディスカッションもさせて頂くなど、感謝してもしきることが出来ません。ありがとうございました。


2021年文京区某所 Masaki Fujiwara


【追記】

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