2013/03/31

スモールフランジハブのお話

一年ほど前から書こう書こうと思っていたのですが、気がのらなくてw
というわけで、某ラボのページも参考にしながら書いていくことにしましょう。


まず、ラージフランジハブの利点については以前触れた通りです。その時の記事は「ラージフランジハブを中心に手組ホイールに関して。」という題になっています。

では、スモールフランジハブに利点は無いのでしょうか?ラージフランジが正義で、スモールフランジハブはゴミなのでしょうか?

某ラボのブログでは、最終的なブレース角が重要であり、その観点から見るとアメリカンクラシックのラージフランジハブはよろしく無い。と書かれています。僕もそれは正しいと思っています。ブレース角がホイールの剛性に影響するのはホイールを切った時に出来る三角形の断面積の増減に置き換えて考えるとよく解ると思います。底辺(ハブのフランジ幅)と高さ(ホイールの半径)はもちろんですが、それに付随して変化するパラメータとしてブレース角を考えるのも一理あるでしょう。

が、それは理想論に過ぎません。

例えば、初期型のフルクラムのレーシングゼロ、レーシングワン。サーヴェロの一部のフレーム。これだけのキーワードで僕の言いたいことが解った人はよっぽどの通でしょう。

フレームによってはチェーンステーやシートステーの曲がりの為、あまりに広いブレース角を持つホイールは干渉するため装着不可能なものもあります。つまり、フレームが許容する最大のブレース角を考えていくことが重要と言えるでしょう。(手組ホイールでそれが問題になるのかは別問題ですがw)

さらに、無視できないファクターとして、リムが耐えられることが出来るブレース角というのも存在します。カーボンリムや軽量なアルミリムでは顕著ですが、リムごとに耐えることが出来るブレース角が存在します。先に述べたフレームとの干渉という点は手組ホイールでは無視出来る要素かもしれませんが、リムの限界内のブレース角というのは問題になってくるでしょう。カーボンリムであれば、これが原因でニップル穴付近からリムが破断するという実例も多く存在します。

こういった側面を考えると、ブレース角を稼げないシチュエーションであったり、カカリの良さを意識する場合、ラージフランジハブを採用する利点があると言って良いと思います。ほぼイコールコンディションで戦う競輪選手の中にもラージフランジハブを愛用する選手が居るのも何となく解るような気がします。

こういう話、某ラボのブログで触れられていないということは、中の人が膨大なデータを持っていることを示唆しているように思えます。正にメシノ(ry

一方、スモールフランジハブでホイールを組んだ場合、スポークテンションやスポークの組み方の自由度が上がり、味付けを変えやすいと言えるでしょう。機械的に最良だと言えるモノが万人にとって最良だと言うことが出来ない自転車において、このメリットは無視出来ないと思います。

さらに、個人的な感覚に基づいた意見になりますが、スモールフランジハブでテンションを上げたホイールとラージフランジハブでテンションを上げたホイールでは明らかに縦剛性が違うと感じます。個人的にはスモールフランジハブで作り出した縦剛性のほうが好きです。この辺りはハブの変形量の大小で説明出来そうです。

こういったホイール組みに関しての考察はライドスタイル、自転車のフレーム、組み手など様々なファクターが複雑に絡み合っているため一元化出来ないのが難点でしょう。各社、フレーム剛性という単語をカタログでよく使いますが、どの部分の剛性なのか、どの方向への応力に対する剛性なのか統一されているとは考えられません。ぶっちゃけ、台湾の決まった工場で色々なメーカーのフレームが製造されている現状、同じ条件で比較しているはずなのですが、企業はプロモーションの為に自社の製品に有利な情報を組み合わせているに過ぎません。そういった裏事情も考えて、企業の広告は話半分で聞いておくのが正解なのでしょう。

そして、最終的には”自分が使っている状態”という特定の条件に適した機材を選ぶしか無い。というのも自転車機材論の難しいトコロなのでしょう。

台北ショーも終わり、色々と僕にも情報が回ってきています。PAXがリムを300本注文したとか、NRSが移転するとか、Movementがどんどんマニアックな方向に道を踏み外しているとか、結構面白いネタもあるのでそのうち書いて行きたいと思っています。

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