2015/06/11

ワイヤー潤滑を再考する。

既にワイヤーについては何回か書いています。
しかし、最近どんどん新しいワイヤーが出てきていることと、個人的に色々と試しているのでそろそろ又書いておこうかと。

過去記事はこちらになります。
ワイヤーの話

僕が選ぶ最強のワイヤー



現状、僕はアウターワイヤーにノコン、インナーワイヤーはノコン純正/テフロンコーティングされた適当なものを使用しています。ワイヤーには一切潤滑剤の類は塗っていません。

で、最近大量に自転車を組む機会があり、シマノのマニュアル通り組んでみたり、ちょっと変則組をしてみたり、色々やってみています。僕が確認している限り、シマノはブレーキワイヤーにデュラグリス、シフトワイヤーにシリコングリスを塗る事を推奨しています。9000/6800系のみブレーキワイヤーにもシリコングリスを使うよう指示がありますが、現状こんな感じです。

基本的に、シマノのアウターワイヤーには既にグリスが注入されているので、ワイヤーセットを購入して組み付ける場合には全く気にする必要の無い問題なのですが、ちょっと整理がてら色々と書いてみます。

まず、僕の考え方として以下の2点が大前提となります。
初期性能の維持
最初に10の性能を得て、そこから一気に性能が低下していくなら最初から8で最後まで8を維持出来る事が理想だと考えています。

品質の均一化
最高を追い求めて職人芸に走るよりは、そこそこでも良いから安定した品質のものが常時供給出来る事が重要だと思います。

この2点は個人的には凄く重要な事だと考えていて、偶にしか乗れないバイクがいつも同じフィーリングになっていると楽じゃん?と。そして全部の自転車のフィーリングが同じだと違和感無く乗れるよね。という意味でもあります。

で、色々と見ているのですが、ブレーキ/シフトインナー両方にシリコングリスを塗り、アウターワイヤーに通す時にラスペネなどのオイルをインナーワイヤーに塗布していくという組み方が多いように感じます。

実は個人的にはこの組み方には反対です。

ラスペネなど、一般的なオイルは樹脂を犯します。サイメンが色々と実験している通り、これって結構無視出来ない性質です。

一般的なアウターワイヤーの中心部にはプラスチック製のライナー管が入っており、個人的な経験として非常に弱い樹脂で出来ています。これがオイルによってかなり変質すると感じています。

確かにワイヤーにオイルを染みこませると一発の引きは軽くなるのですが、どうしてもその引きの軽さが維持出来ず、最終的には改悪することになってしまいます。この改悪を数多く見てきましたが、正直な所完全にアウトだと思っています。ありえない。

逆に、樹脂を犯さない(とされている)オイルを塗ることにはある程度賛成です。反対では無いです。ただ、何をどう塗っても劣化するからやっぱり僕は自分の自転車には塗りたくない
シリコンオイルなどは常温ではほぼ揮発しないとされているので、オイルの保持さえ出来れば良いのですが、僕の経験上これが非常に難しいのです。確固たるデータは無いのですが、毛細管現象と重力の狭間でオイルが流れていくように思います。ジャグワイヤーなどがオイルをスポンジに保持させ、それがワイヤーアウターを常時オイルアップするような構造のものを出していますし、同じような商品は古くからありますが、気休めにしか過ぎません。

で、考えていたのですが、"潤滑"という部分に目を向けるのであれば、一昔前に流行ったクラークスのプレルーブってやっぱ凄い良いんじゃないの?と思うわけです。

外部からグリスを幾ら塗ったトコロで限界があります。しかし、クラークスのように内部に予めグリスが入っていれば中がスカスカになるまで外にグリスが供給され続けていきます。ケーブル内がグリスで飽和状態にあればスカスカになるまで相当時間がかかるでしょう。

個人的にクラークスのプレルーブのようなワイヤーが作れないか試した事があるのですが、どうしても持続性という点でプレルーブを超えることが出来ませんでした。ちょっと考えれば当然の事なのですが、企業が設計段階から手を加えてきているものに末端の僕達が挑んでも無理です。意図が同じであれば勝てるはずがありません。

で、こうやって色々考えていたのですが、最終的にシマノが9000/6800系のポリマーコーティングワイヤーで潤滑論争にトドメを刺した気がします。正直あの軽さにはもう勝てません。キッチリ処理をすれば(しなくても)鬼のように軽い引きと最高のフィーリングが得られる今、お金のある人は全く悩む必要が無い時代が来たと言えるでしょう。

たまたま6800のブレーキインナーワイヤーを友人に頂いたのでNOKONに組んでみたのですが、NOKONとの相性も悪く無いです。ある種のゴリゴリ感は出てしまうのですが、バッチリ潤滑されています。カンパであればワイヤーもしっかり固定出来ますし、個人的には非常にアリだと思いました。


で、自分の自転車に関してはある程度ランニングコストも無視して組む事が出来るのでコレで良いわけですが、人様の自転車はどうしようかな…という所に戻ってくるわけです。

このお題に関しては非常に簡単な結論が出ていて、ワイヤーの潤滑はアウターワイヤーに既に入っているグリスに頼り、ワイヤーの錆止めとしてシリコングリスを塗りこむというのがベストなようです。実際、色々な人に聞いて回ったのですが、殆どのメカがこの作業を行っているような気がします。

デュラグリスとケーブルグリスって混ざってええんかい!って話もあるんですが、まぁ大丈夫なんでしょう。爆発してないから多分大丈夫です。(僕は気持ち悪さが残りますけどね)

細かい所が気になる僕としては目的が明確な作業しか行いたく無いので色々と逡巡していましたが、ひとまずの落とし所に到達したように思います。個人的にちょっと固めのグリスが好きなので、信越シリコーンのG-501辺りが良さそうだなぁ…と思っていますがどうなんでしょうね。普通にシマノのワイヤー用グリスで十分だとは思うんですけどね…。


独り言:そういえば、一回トリフローグリスをワイヤーに塗ったら粘度が高すぎてゴミを集めまくって塗るの辞めたなぁ…というのも思い出したので、やっぱり僕はオイルレスでワイヤーを組みたいな…という所に戻ってきて一人笑っています。

このブログ面白かったです。シマノのマニュアルが上手に纏まってます。
http://ff-cycle.blog.jp/archives/1024655905.html
http://ff-cycle.blog.jp/archives/1024827282.html
こういうのがちゃんと書けるショップって良いですよね。日本語がちゃんと通じそうな安心感があります。


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