2013/11/02

Do you know this cervelo ?

Very early model of cervelo.
持ち主から掲載許可を得ましたので取り上げてみましょう。


元々、これを日本に引っ張ってきた方から「これって何ですか?本物?偽物?」という質問を受けており、「初期のサーヴェロに酷似してるから、多分本物。90年代の初期のモデルにBB下にフィンがついてるモデルがあったハズだから…多分ソレじゃない?」と回答した記憶があります。

流石にそれではマズイのでソースを探したのですが、サーヴェロは元々非常に小さい工房からスタートしているので、あまり情報がありません。「公式ページのHistoryにそれっぽいのがあったから、多分それで良いよ。」と言っていました。
*98年の黄色いバイクがそのものでは無いか…と返答した記憶があります。

細部を見て行きましょう。




断面は恐ろしく平べったいです。2000年代初頭のソロイスト(後のS1)と非常によく似た形状、溶接となっており、サーヴェロのアルミバイク作りの系譜が見られます。が、S1とは違い、チェーンステーにつぶしが入っており、トライアスロンバイクとして快適性を確保しようとしたのかな?いや、この潰しは捻じれ剛性の強化の為のつぶしかな?など色々な憶測が可能です。

 

エアロパイプ部は翼端部が溶接で作られている(一枚の板を丸めてエアロ形状のパイプ委を作ったように見えます)、リアセンターを詰める為独特の形状となったシートチューブの後端部分にも複数の溶接跡があるなど、ハイドロフォーミング(油圧成形)が一般的となった今では考えられないほど手がかかった作りになっています。というか、フレーム内部を見て想像される作り方はおおよそ商業目的とは思えないほど手間も時間もかかった作り方であり、その時に一緒に見ていたカステと衝撃を受けた記憶があります。

デザイン上のアクセントなのか、空力性能が飛躍的に向上するのか、僕には解らないのですが、このフレームで最も特徴的なのはBB下のフィンかもしれません。BB周りの造形といい、凄く手間がかかっています。




基本的な設計思想は今の時代のバイクとも共通のモノですが、丸いシートポストを使う部分に時代を感じます。カーボン全盛期となった今現在ではフレームごとに専用設計された異形ポストが主流となりましたが(もしくはISPが)、当時はそういったシートポストを作る技術が無かったため、各社趣向を凝らしていました。



このフレーム、非常に懐かしいシートポスト固定方式を取っており、なおかつシートポスト径が現在はあまり一般的では無い非常に珍しい径なようです。ボルトを締めると臼が出て直径が小さくなる方向に動き、摩擦力でシートポストが固定されます。この固定方式は90年代後半、MTB系のステムでよく使われた構造で、僕はTrans-X社のステムが記憶に残っています。言葉では説明しずらい部分ですので、写真を見て貰うのが良いと思います。







シートポスト径は25.2mm。シートポストは0.2mm刻みで沢山ある…のは知っていますが、聞いたことの無いサイズでした。どうやら、25.2mmのポストは一時期アメリカのピストで使われていたようです。パイプの真円度に大きく左右されるシートポスト固定方式であるため、今回は25.4mmのシートポストを用意し、旋盤で0.2mm削って25.2mmのシートポストを作ってもらうという手段を取ったそうです。僕など足元にも及ばないレベルの知識を持つ現オーナーが「おかしかった。」と言うのですから、相当なんでしょう…。

と、色々と謎なフレームだったわけですが、最初に購入した人が直接購入先に問い合わせたそうです。彼曰く、「どうもあのフレームの正体は、サーベロが工房だった時代からフレームを売ってたカナダの自転車店の倉庫に眠っていたものみたいで、99年にアルミTTを展示会に出品する際に生産したものみたいです。2000年になってから買収?されて経営方針が変わり650cのレギュラーサイズを取りやめ、参考出品にとどまったまま巨人族の住むカナダでも引き取り手がおらず燻っていたフレーム、それをどこぞのヤボンスキーが拾ったみたいです。」

そうなんです。今更なんですが、これ、650cのホイールを使用するフレームです。ホイールの選択肢がめちゃくちゃ少なくて大変そうですね。フレームサイズは確か56だったと思います。56のフレームに乗れる人はチラホラ居ると思いますが、このISPもどきで適正サドル高が出る人はかなり少なそうです。そういったポジショニングの制約からこういった形式のフレームは殆ど生産されることが無くなったわけですが、こういう実例を見ないと実感が湧きませんね。頭の中でどれだけ理解していても、実物を見て、「あっ…これ乗れんヤツや…」という認識を持つ事は結構重要な事かもしれません。トップチューブ長とシートチューブ長の比って凄く重要です(汗)

それにしても凄いフレームが日本に来ましたね。オーナーが忙しくて当分組めないとの事ですが、乗り味や性能が非常に気になるので続報に期待しましょう。

Special Thanks to わたぽん & ふゆくん

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