2012/07/02

2013 TREK Madone 7シリーズ発表

TREKは大株主であるランスの問題で大変だったり、レディオシャックニッサンTREKのエースであるアンディ・シュレクが骨盤骨折でツール不参加だったりと泣きっ面に蜂どころか踏んだり蹴ったりな状況ではありますが、新型のMadoneを発表しました。

前回のDomaneの記事が好評なので、Madoneの技術的な分析記事も書くことにw


先日の記事で、”このモデルが登場した事により、Madoneシリーズは確実に硬さを求めた設計に変更されるでしょう。というか、今後、エアロロードとクライム用ロードの2種類が発表されるかもしれません。Madoneはクライム用ロードとしてアップデートされ、新型のエアロロードが発表されるかなぁ?と思っています。”なんて書いていましたが、予想は大きく裏切られましたw。

Madoneの新型がエアロロードになるとかアホかと…w。


昔からのTREKを知っている人には周知の事実だと思いますが、90年代からTREKのロードバイクには4桁の数字がモデル番号として使われてきました。そして、ツール・ド・フランスでランス・アームストロングのクライム用スペシャルウェポンとして作られたのがMadoneでした。Madoneという名前は峠の名前に由来する通り、当初はクライム用のバイクとしての位置づけが強く、"軽量"で"意外と乗り心地がソフト"なバイクだったわけです。

しかし、ランスの1回目の引退後、迷走が始まります。フラッグシップモデルとしてエアロ方向にもベクトルを向けながら、オールラウンドモデルとなりました。

今回の7シリーズでは完全な"エアロロード"として発売されており、古くからのファンとしては上述の理由により非常に複雑な心境ですw。


さて、投入された新技術ですが、あまり目新しいものは存在しません。"カムテール"しかり、"BB裏のブレーキ"しかり、「本当に新しい技術は無い」と言い切ってしまっても良いでしょう。

パーツメーカーとしてTREKが再建したボントレガーブランドからエアロ形状のハンドルが出ていますが、握り心地のほうが空力よりも優先されるべきだと考えている僕にとっては魅力的な話ではありませんw。

今回は"軽量化"もプッシュされており、FD台座や雌ねじなど、今までアルミを挿入したりリベット留めしていたパーツが全てカーボンで一体成型されています。

つまり、そういった小物が一つカケただけでフレーム買い替えという…。いたずらにスペックを追い求めても、ユーザーには全くメリットが無いという好例だと思います。

真面目な話、TREKに限らず、カーボンのカケやクラック、折れは回避不可能なトラブルです。メーカーはいつも「軽く倒しただけでは壊れない!」「ユーザーレベルの使い方で破損するはずが無い」と豪語しますが、ユーザーは素人であり、パーツやフレームがメーカーの予期していない使用方法で運用されることは自明です。

クラッシュリプレイスメントプログラムが適用されれば3割引で新しい代替品を購入することも可能ですが、どうなんですかね?w


と、ボロカス書いていますが、自転車としては非常に魅力的だと思っています。

現在、殆どのフレームの生産拠点が台湾に移され、悪い言い方をすれば殆どのメーカーのフレームに大きな差異が見られない状況となっていますが、先に発表されていたDomaneも今回発表されたMadoneも"現時点ではTREKにしかない"部分があります。

Domaneであればフレームのピポット構造。MadoneならばBB下に移設されたブレーキとブリッジの無いシートステイが"現時点ではTREKにしかない"部分です。

こういった"他社と差をつける"ことは販売戦略上大きな意味を持ってくるでしょう。



ここまで、技術解説を一切すること無く来てしまいましたが、整理するとこういうことです。

新しいMadone 7シリーズには解説すべき新しい/特異な技術は使われていない。

強いて触れるのであれば、リアのシートステイ部分にブレーキを取り付けていない為、補強としてのブリッジが無くなったことでしょうか?

構造的な話になりますが、補強が無くなると強度は落ちます。強度が落ちれば、その部分が動く為、乗り心地の向上に繋がります。今回の部分に関しては縦方向では無く、斜め方向への捻じれに対して弱くなると考えられるため、ダンシング時の剛性不足に繋がってしまうのではないか?と懸念していますが、カーボンはレイアップの方向や枚数を変えることで剛性をコントロール出来るので、杞憂に終わるでしょうw。というか、シートステーは2本のほうが色々と計算が楽なので、狙った特性を持たせる設計がしやすいはずです。

斜め方向への捻じれが弱くなることで、個人的にはリアのメカニカルグリップが向上するのではないか?と考えています。でも、捻じれると戻ってくるわけで、ハイサイドに繋がらないかな?とか本当に色々と考えてしまいますw。

市場としては、見た目が非常にスマートになるため、最初の評価は凄く高くなるでしょう。

何年か経った後の評価が楽しみなバイクです。

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