2013/08/10

外見に惑わされるんじゃない。本質を見るんだ。

偉そうな題の記事ですが、フレームのジオメトリーやリーチ/スタックといったポジショニングの話になってきます。

2013/08/02 : 立場の違う寸法評価



敬愛するZENSHOJIさんが書かれたこの2本の記事を読み、そういえばそうだったよなー。と自分が思っていることを書いてみました。


まずはサーヴェロのページを見てもらいましょう。



サーヴェロではリーチとスタックをこのように定義しているようです。BB軸中心とヘッド上部の芯で取っていますね。

んで、こんな感じで利用してます。

サーヴェロ、凄いです。BB軸を固定した際、フレームサイズに応じてリーチとスタックが伸びていきます。実は、これって一見普通に見えるんですが、そうじゃないんですね。事実、サーヴェロのページにもそれが書いてあります。


キャノンデール、TREKは健闘していますがスペシャライズドはダメですね(苦笑)ちなみに、自分が自転車を買うときに計算したことがあるのですが、ビアンキはダメダメでした。リアルに小さい人お断りなジオメトリーです。ぶっちゃけ、かなり無理して乗ってます。

サーヴェロもこの事実を自社のアピールに使っており、こんな図で説明しています。

他社のフレーム

サーヴェロのフレーム

サーヴェロのドヤ顔が目に浮かびますwwww

ですが、僕はサーヴェロのフレームには乗れません。サーヴェロは余りにも理想を追求しすぎていて小さいサイズのフレームは650cで作ろうとするからです。事実、S2やソロイストといった名前でフレームを生産していた時は、下の2サイズほどが650cサイズでした。650cの不遇っぷりは僕が書くまでも無いことなので書きませんが、乗ろうとは思わないわけです。身長的には650cのほうが良いのは自明ですが、あまりにも不便さが目立つというのは考えものです。あとぶっちゃけ見た目が悪いのは受け入れられません。趣味である以上、カッコイイ自転車に乗りたいです。

で、まぁ、ここからが本題なんですが、昨今のカーボン素材の成形技法の向上によりパイプの形状が丸型から複雑な形状に変化してきたわけです。メーカーは設計段階ではジオメトリを決定し、そのジオメトリに対して最適な強度を得る(重量減を同時に行いながら)為の外部形状を探り、その結果としてグネグネとかカクカクした形状のバイクが出来てくるわけです。例えば、ピナレロのONDAは見た目とは裏腹にオフセット量は43mm(現行のドグマ)として一般的な数字を出しつつも形状を変化させることでフォークの長さを長くし、応力の伝わり方を弄り、独特の特性を得ているわけです。43mmのフォークの操作性と45mmやそれ以上のオフセット量を持つフォークの安定性を(ぶっちゃけ、オフセット量が増えれば安定志向になるわけでも無いんですが)得ようとしているはずです。という魔法のような事を可能にしたのがカーボンという素材であり、カーボンを利用した設計の多様さでもあるわけです。

その結果、ONDAフォークだったり、僕のCentoStradeだったり、フィブラだったり、変な形状の自転車が出てくるわけです。見た目すげぇぇぇ!割に意外とこういう異型フレームのバイクの乗り味が普通なのもジオメトリに依る所が大きいでしょう。結局のトコロ、ジオメトリを大きく変えない限りは(芯の)基本設計は大して変わりませんから、今後もこういった傾向は続くと思われます。

逆に、特殊なジオメトリの自転車は素材が何であれ、特殊な乗り味になるでしょう。何が特殊なジオメトリで、何が特殊では無い一般的なジオメトリか。というのは永遠の議論だとは思いますが、この辺りはスペシャライズドがボーネン用に複数のジオメトリを用意してテストしていたように、ジオメトリの変化に自由に対応出来る金属フレーム(ボーネンはアルミフレームを作らせていましたが、一般レベルではクロモリになるでしょう。)からその動きが出来てくるでしょう。とはいえ、自転車は紆余曲折経て今の形状に落ち着いているわけですから、今後もジオメトリに大きな変化は無いと考えられます。

が、昨今のカーボン技術やフレーム設計の方向性を見るに、フレーム全体をトーションスプリング(ねじりバネ)やリーフスプリング(板バネ)としてもっと動かして行くという方向性も見えてきます。元々、クロモリ時代からあった考え方ですが、FEMの向上(こういう表現が正しいかわかりませんが)により細かく計算出来るようになり、一気に実用化が進んだように思います。こういったフレームは元々のジオメトリに対して、荷重がかかった時のジオメトリが大なり小なり変化するはずなので、今後はそういった辺りの変化をどのように判断していくかを考える手法が必要になってくるかもしれません。

ここからは蛇足なのですが、ZENSHOJIさんやKinoさんが行なっているレーザー水準器を利用したフレームジオメトリの測定、そこからポジショニングを数値に落としこむというのは非常に興味深いやり方だと思っています。同一条件の物を揃えてテストするのは理系っぽくて科学的には正しい手法でしょう。しかし、人間という確実性の無いファクターが最大の変化要因として存在する自転車において、そういった数値を出して一般化を行うことが果たして効果的であるのか…という疑問も無いわけではありません。その日の体調によってサドル高は確実に変化しますし、同様にハンドルリーチも変化するでしょう。そのように考えると自転車にはある程度の冗長性も必要かな?と思う非科学的な考え方を持つ自分も居ます。なので、個人的にはフィッティングの理論としてBG-Fitが(一般化されたものとして)最も優れていると考えています。現時点でのポジションから理想のポジションに向けて小変更を繰り返していくというのは時間もお金も要求されますが、最も正しい(が、実行しづらい)のかな?と。

ま、最終的には僕もレーザー水準器欲しいぃぃぃ!!!って所に落ち着くわけですが(苦笑)

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