2022/09/19

SUPACAZの大いなる欺瞞

 Supacaz Prizmatik Opalというバーテープを購入して巻きました。
巻けずに捨てました。

このバーテープは一般的な形状のドロップハンドル+一般的な形状のSTIのみの構成の人は何とか巻くことが出来ると思うのですが、エアロハンドル+スプリンタースイッチという構成の僕は全く無理でした。バーテープは伸縮することによってハンドルに巻けるようになっているわけですが、このバーテープはほぼ伸びないレベルの伸縮性です。エアロハンドルのように高い伸縮性を求められるハンドルには無理ですし、スプリンタースイッチとの相性も最悪でした。


で、巻いていて思ったのですが、Supacazのバーテープって創業時と比較すると完全に別の商品になってしまっているのですね。

Supacazは今から約10年前、2012年頃に創業しています。スペシャライズドの創業者、マイク・シンヤードの息子、アンソニー・シンヤードが創った会社で、当時スペシャライズド製のバーテープが高評価だったのに何故息子が新しいバーテープメーカーを作るのか真剣にわからなかった記憶があります。
Supacazの語源はSuper Casualであり、斬新さを押し出したカジュアル着という意味があります。アンソニー・シンヤードの渾名を元にしているみたいですね。


Supacaz創業当時のバーテープは非常に特殊で、当時としてはかなり珍しい3層構造;滑り止め用のポリウレタン表層/クッション性を付与するためのEVA製の中間層/振動吸収とハンドルへの吸着を目的としたシリコンゲル層になっていました。
*創業当時の代理店サイト

当時、バーテープは布→コルク→コルク配合ポリウレタン→ポリウレタン系と変遷が進んでいた時代であり、クッション性には優れているにも関わらず滑り止め効果が低いポリウレタンバーテープ上にグリップ力確保の為の層を接着?したバーテープがリザードスキンズから出た直後くらいの時代です。当時、出た直後にLizard SkinsもSupacazも購入したのですが、断面が非常に近しいものだったと記憶しています。
*当時撮影した断面比較です。

Lizard Skinsが第三層を両面テープにして薄手のバーテープとして販売されていたのに比べ、Supacazは第三層を吸着性のシリコンゲル層にしていたのが特徴でした。
この第三層が非常に高品質であり、バーテープ巻き直しの際の糊残りの無さや振動吸収に大きく寄与していました。

その後、2015年くらい?(ソースが見当たりませんでした)にSupacazはモデルチェンジされてしまい、現在のような両面テープ仕様になってしまったのは記憶に新しい所です。初手で最も売りにしていた仕様を消したというのは大問題だと思っています。


また、Supacazのロゴや商品名は大麻文化を反映しているように感じています。そういった内容が名言されていることは当然無いので推論の域を超えないですが、ヒッピー文化から独立したMTB文化を横取りしたスペシャライズド系らしいネーミングになっています。六角形のロゴもカンナビス(大麻)の葉をモチーフにしているように思います。冷静に考えたらこれ麻の葉文様だわ。さすが日本育ちのアンソニー・シンヤード。
*教養系記事を書くと教養が飛び交うので最高です。

KUSHはクッション性を持つモデルに付けられている名前であり、cushionという単語から来ていることは音から容易に推測出来ます。KUSHは合成大麻の隠語なので、化学的に調合されているというニュアンスから初期の3層が付着しているバーテープを連想させようとしていたのだと考えることも出来そうです。近年、フロイド・ランディスも医療用大麻の栽培をしているという話がありますが、MTBはドラッグと密接な関わりのあるヒッピー文化から元々出てきていますし、北米ではhot topicな医療用大麻や違法ドラッグとしての大麻成分を隠喩しているという見方も出来ますね。

Supacazの初期のマーケティングには派手な女の子を使っていたのが今は葬られています。当時、スパカズのセールスディレクターを名乗る人から「新製品が出るんだけど、それ送るから写真を削除してくれ。マーケティングの方向性を変えたんだ。」という連絡を貰ったのですが、新製品はいつまで経っても送られてきません。悲しい。Bikeraderにもこの画像は残っているので、あの連絡が何だったのか真剣に謎です。




結局、完全にこういった写真を消すことは出来なかったようで、今も女の子がバーテープを巻く動画や画像がインターネット上には残っています。この手法は間違っていなかったと思うんですけどねぇ…確か当時は結構バズった記憶があります。

ちなみに、現在手に入る良かった時のスパカズ的バーテープはBBBとシマノプロから(多分同一商品ですが)出ています。他のメーカーからも出ているのですが、全て同じ表面パターン(ヤスリ目)なので、完全に同一のOEM品っぽいですね。昔、バーテープの工場は3つしか無いという話を聞いたことがあるので、まぁそういうことなんだと思います。

参考サイト


fi'zi:kのバーテープのtackyっていうのはこういうことやぞという動画も貼っておきます

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