2014/01/24

SHIMANO DURA-ACE SL-BS78/SL-BS79

今回はバーコンの話。

世間では11段コンポが着々と市民権を得ていますが、10段コンポのお話です。


SIS(シマノインデックスシステム)が発売されるまで、変速動作はダウンチューブにある変速レバーを適当に動かして行われていました。カンビオコルサなどの時代まで遡れば変速レバーの位置はシートステー部分にありましたが、今回はワイヤーを用いて変速動作を行うコンポーネントについて書きたいので触れないことにしましょう。

SISが登場するまで、シフトレバーはフリクション式と呼ばれる内部構造をもってその変速位置を固定していました。フリクション=摩擦力、という名前の通り、細かい溝の切ってあるレバーとレバー台座の摩擦力を利用して変速位置を決めていたのです。実はこのフリクションレバーというのは今でも生き残っており、バーエンドコントローラーやシフトレバーの左側などは現行の9000系デュラエースでも採用されています。ダイアコンペなどからは今でも左右ともフリクション式のシフトレバーが発売されており、未だに需要があることが解ります。

フリクション式レバーのメリットは変速速度、ナチュラルさ、幅広い変速段数への対応など多岐にわたります。SIS式のレバーに存在する引っ掛かりが無い為、一気に多段変速を行う場合は明らかにスピーディーです。ナチュラルさ…というのは数値化しづらい、非常に漠然とした表現なのですが、カチッとした変速ではなく、ニュルっとした変速を味わう事が出来ます。残念ながら、このナチュラルさというのは自分でディレーラーの位置を細かく調整する必要があるため誰もが平等に味わう事が出来るものではありません。SISが登場するまで、一流のレーサーの条件として”変速動作が上手い”ことが挙げられていたそうですが、実際にフリクション式のレバーでリアディレーラーを動かすと、インデックス式のシフターの有り難みがよく解ります。シフト操作が壁だった時代に思いを馳せることが出来ます。まぁ、したトコロで特に何かが得られるわけでは無いので、ただの自己満足に過ぎないのも事実なんですが…。不自由なのが良いとか、偶に雑誌に書いてありますがアホかと。どう考えてもインデックス式のほうが使いやすいです。慣れれば問題無く使えますが、慣れてからでもインデックス式のほうが楽です。幅広い変速段数への対応というのが今回僕が注目した部分です。極端な話をしてしまえば、スプロケが6段だろうが11段だろうが、レバーの引き量でリアディレイラーの位置を決めてしまえば良いだけの話なので、何を持ってきてもとりあえずは走れるわけです。

僕のブログを通読してくれている人はご存知だと思いますが、僕は10段コンポユーザーです。カンパの10段で組んだロードレーサーで遊んでいます。TTバイクはシマノ10段です。勘の良い人は気がついたと思いますが、今回僕は"フリクション式のシフトレバーを用いてシマニョーロ"をやってみよう。と思ったわけです。

という流れでフリクション式のレバーを探したのですが、ここから波瀾万丈のシフトレバー選びが始まりました。昔から自転車をやっている人はご存知だと思いますが、シマノは7800系のシフトレバーまではフリクションとSISを切り替える事が出来るシフトレバー/バーエンドコントローラーを発売していました。

これが78デュラのシフトレバーです。
左に置いてあるのが右側(リア用シフトレバー)です。

拡大すると解りますが、ノブを回すことでフリクションとSISの切り替えが可能です。

つまり、78デュラのシフトレバーを使えば、シマノ10速スプロケを入れた時はSISがそのまま使え、カンパ10段やシマノ/カンパ11速、もっと極端な例を言えば9速スプロケなど、それ以外のカセットスプロケットを使用しようと思ったら、ノブを回してフリクション式に切り替えることで対応出来るわけです。(77デュラのシフトレバー/バーコンであれば9速のSISとそれ以外、という使い方が出来ますね。)

で、78のバーコンを去年の夏前から探していたのですが、全く手に入らないという…。噂ではプレミアがついているとかないとか…。オークションで箱入りの新品が2万円ほどで取引されているのを見て絶望感を感じていました。流石に何かバーコンを用意しなければいけなかったので、夏のシマノ鈴鹿では友人からバーコンを借り、その後は79のバーコンを購入して使っていました。定期的に78のバーコン欲しいと言い続けていたのですが、今回友人が譲ってくれるとのことで僕の手元に78のバーコンが来たという感じです。


個人的な意見ですが、インデックス(SIS)とフリクション切り替え可能なシフトレバーの需要は確実に存在すると思うんです。非常にニッチな市場かもしれませんが、僕と同じような事を考えている人は事実存在するはずです。多分。

【追記】さらに、転倒した時などディレーラーの調整が狂ってしまった時に、インデックス式だと非常にストレスフルですがフリクション式であれば微調整可能であるのが大きなメリットですね。後述するレトロシフトのディレーラーはそういった観点で用意されているのか、ニッチ?なシクロクロス市場にわざわざインデックスとフリクションの切り替えが可能なシフトレバーを投入しているのはそうとしか考えられませんね。

ちなみに、フリクション式のレバーであれば、リアディレーラーがシマノかカンパかというのも些細な問題に変わります。今回はシマノのSISを使いたかったためシマノのRDと組み合わせていますが、カンパのリアディレーラーを引くことも可能です。SRAMに関してはリアディレーラーの引き量が相当違うので、引ききれないこともあるかもしれませんが調整次第で何とかなるはずです。



と思ったら、ツイッターで見つけました。

レトロシフトからインデックスとフリクションの切り替えが可能なシフトレバーが発売されているようです。レトロシフトのシフトレバーはマイクロシフト製がOEM生産しているものであり、マイクロシフトからも同様の商品が発売されています。個人的にはマイクロシフトのレバーは色調が好みでは無いですw。

レトロシフトは右が4000円、左が2000円


マイクロシフト銘のもの(左右ペアで8000円弱

と、嬉しそうにツイッターでチマチマと書いていたら、友達がレトロシフトのシフトレバーを持っていましたw。大抵のパーツは知り合いが持っていますね。78デュラのように工具レスでインデックスとフリクションの切り替えが出来るわけでは無いようですが、価格と機能を考えると非常に魅力的です。ボロボロの78のバーコンに高いお金を払うならレトロシフトのシフトレバーを買った方が良いでしょう。

友人が写真を撮ってくれたので載せておきます。

赤いドットでフリクションとインデックスの切り替えが確認出来ます 



レトロシフトのブレーキレバー上部にシフトレバーをマウントするものは日本に流通し始めた直後に触った事がありますが、非常に面白い商品でした。僕はカンパユーザーだった事に加え、極端に手が小さいなど幾つかの身体的な理由で選択肢から外したのですが、性能面(多段変速が出来る)やインパクトなどを考えると、CXなどで高い評価を得ているのもわかります。ロードバイクのブレーキレバー(STI、エルゴレバー、ダブルタップ)は自転車を正面から見た時のイメージを大きく左右する部分だと思っています。そこに第4の選択肢が出来、選択肢が増えたというのは興味深いですね。


で、話を78のバーコンに戻すわけですが、今現在非常に快適にシマニョーロが出来ています。11速スプロケのついたホイールを入れてテストしてみましたが、10速コンポーネントのまま違和感無く動かす事も出来ていますので、僕が描いた机上の空論は実用レベルにあったことが確認出来ました。

Special Thanks : たっくん

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