2022/08/17

だからお前の写真は下手なんだ(序章)

写真を真面目に撮り始めて8年くらいになるでしょうか。趣味で12万枚ほど、仕事で30万枚くらい撮ってきたはずです。たかだか30万枚ちょっとで何を語れるのかわからないのですが、写真撮影セミナーとかも行ってきた経験からチマっと書いてみましょう。こんな内容の記事は無数にインターネット上に落ちていますから書くメリットは無いのですが、どうしてもこういった内容を伝えたい人達が居るので今回この記事を書きました。国内サイクルフォトグラファーのレベル向上に繋がるととても良いなぁ…と思っています(苦笑)


*今回は僕が得意とするスポーツ写真やポートレートといった枠組みでは無く、ある程度どんなジャンルの写真でも適応出来るような広い幅の話題を取り扱いたいと思います。

1、良い写真を見るということ

写真を始めた時に、何人かの著名な写真家に言われたのが、

「良い写真を見なさい。」

という一言でした。

この一言が何となく理解出来たのは写真を初めて3年くらい経過した頃でしょうか。カメラの操作方法やレンズの圧縮効果、ストロボの使い方などが概ねわかってきて、ようやく何となく理解出来ました。

写真を撮る。ということは個人的には絵を描くことや、文章を書くことと同義だと思っています。インプット量が全てであり、インプット無しのアウトプットはあり得ません。残酷な真実ではありますが、上手い写真の一要素であることは疑う余地は無いと思います。

*僕が写真を始めるキッカケになった写真です。



2、機材が占める割合は少なく見積もっても80%以上はある

僕が写真関連で感動したタイミングは何回かありました。フルサイズカメラ(5D2)を購入した時、Lレンズを購入した時、ツアイスレンズを購入した時、フラッグシップモデル(1Dx)を購入したとき、超高画素機(5Ds)を購入した時と、機材購入のタイミングで毎回大変に感動してきました。

ひとえに、高い機材はよりクリア/鮮鋭に写ります。どこかぼやけたような、パッとしないという不満を持っている人は高い機材に投資する価値があると思っています。
また、ISOが上げられ、AF精度も上がることから、様々なブレを軽減させることが出来ます。シンプルに撮れ高が上がります。
おまけとして、光学性能が高いということは周辺に行くに従って像が崩れない為、綺麗なボケが手に入ります。ボケを機材入れ替えの1つめの理由に持ってくるのは言語道断だと僕は思っていますが、ローパスフィルターレスや特殊ローパスフィルターを採用しているカメラを使っており、既に鮮鋭な画像が手に入っている人には1つ目の理由になるとも思います。

ただ、高価な機材は押し並べてサイズが大きく、重くなります。重い機材に振り回されているようでは全くメリットを活かすことが出来ません。コンデジで勝負しようとする時はこの1点を頭に入れておくと良い感じの写真が撮れます。



3、脚で稼げ

このフレーズ、非常に難しいフレーズだと僕は思っています。よく、「単焦点レンズを持って練習すると、脚で写真を撮るということがわかって良いよ。」という話があります。
この  フレーズは非常に面白く、大学写真部で部長をやっていた時代に後輩からよく単焦点レンズの購入を検討しているという相談を受けていました。僕は決まってこう答えていました。

「背景がボケた写真が簡単に撮れて面白いよ」

例えば、背景をボカそうと思えば、キットレンズでも背景をボカすことが出来ます。被写界深度というものを把握しており、適切な構図と適切なレンズ焦点距離で適切な設定で撮れば良いのです。ただ、そういった特殊な状況を用意すること無く、単焦点レンズを使えば簡単に背景がボケた写真を撮ることが可能です。

また、何故僕が「上手くなるよ」と答えないか…ですが、上手くなりたくて単焦点レンズを購入する人間は何も言わずに単焦点レンズを購入します。上手くなるとはどういうことなのか、という自問自答が既にそこで成されているため、わざわざそんな話をしなくても良いということです。

僕は自分自身が化けた理由は135単にあると思っており、特定の距離の単焦点レンズでキッチリ撮れるようにするというのは非常に有用なトレーニング方法だと感じました。最終的に24,35,40,50,85,100,135,300と計8種類の距離の単焦点レンズを使って練習したのは間違っていなかったと思っています。



4、センスとは

別に写真で何億も稼いでいるわけでは無いので僕が語るような内容では無いですが、センスとは、人の話をしっかり聞き、その内容を自分なりに解釈出来るまで落とし込むことが出来る知性だという結論に至りました。

もし、もっと残酷な話をするのであれば、これまでの人生において、良いモノをキッチリインプットしているかどうかだというシンプルなポイントに尽きると思っています。

インプット無しにアウトプットは不可能だということは皆さん大変に御存知なのですが、写真が実はアウトプットの集合体であるということは皆さん全く思い至らないようです。写真というのは絵や文章とは違い、どこか必ずコントロール出来ない要素をどうにか理想的な配置かつ配色で切り取って行く作業だと僕は思っています。無数の要素をルービックキューブの面を揃えるかのように揃えていくわけです。そこにオリジナリティとかありませんから。車輪の再発明ですら無いです。

また、インプット元を選ぶのもセンスだと思います。この世の中、全てがn次創作物です。なるだけn数の少ないものから順に、時代を追って整理出来るようなインプット方法が有効かと思います。

私の話ですが、小学校1年生の時に見たサモトラケのニケが今も一番好きです。モナ・リザより絶対にサモトラケのニケです。



5、具体的に何をやれば良いのか

これに関してはよく聞かれるのですが、人の話をしっかり聞いてれば上手になります。スクラップを作ることが最も重要です。

別にこの時代、スケッチブックに貼れとは良いません。良いと思う画像データを放り込んでおくフォルダを作って、定期的に見返すだけで良いのです。

また、”良いもの”を見ることが本当に大切だと思います。ちゃんとした写真に触れていないとゴミの再生産をするだけです。

"良いもの"がわからない人はインプットが足りていません。なるだけn数の少ないソースを探しましょう。つまりは古い写真を見れば良いんですよというのが僕が言える最大のヒントです。



6、テクニック論

最後に、スポーツ写真が陥りがちな失敗例について主観を語っておきます。

スポーツ写真を撮っているフォトグラファーは元々そのスポーツが好きで好きでたまらない為、そのスポーツを撮っている人が殆どだと思います。こういった人が陥りがちな失敗は、

”周りの空気を写し込もうとして中途半端な構図を作る”

という1点に集約されるように思います。

ここで重要なポイントは、万人受けする写真を撮らないことです。キルケゴールになれということです。あれもこれもと色々な要素を写し込もうとすると、それぞれの要素が独立して動くパラメータとなります。なるだけ多くのパラメータを固定したほうが簡単に物事が解決出来るという学びは既に高校数学で経験していることと思いますが、写り込んだ背景が既にパラメータなのです。

こんな話をしていてもわからないと思うので、ツール・ド・フランスで僕が撮った写真を例に説明してみたいと思います。


まぁ、物凄く悪い写真では無いですよね。パヴェ(石畳)ステージで、必死にエースを引くアシスト選手と彼らが巻き上げた埃と選手を応援する周りの観客と、チームカーと、広告がこれでもかと言わんばかりに写っており、牧歌的な側面とガチ競技面両方が見えてくる写真です。

”この写真って良いと思いますか?情報量多すぎてしんどくない?”

というのが今回のポイントです。


今の写真を回転し、トリミングしてみました。

情報量が減って見やすいでしょ?

更にトリミングしてみましょう。雑誌とかで良く見る構図になったはずです。


「ああ!」ってなった人、一緒に焼肉行きましょう。


ここで重要なポイントは、”何を伝えたいのか情報を絞り込むべきだ”というところです。前述した通り、写真とは究極のアウトプットであり、つまりはその1枚の写真を通して撮影者と写真を見る人が瞬間的な会話をします。撮影者にこんなに時間が与えられるコミュニケーション手段は他には無いと思うので、もっとコミュニケーションを大切にして欲しいと思っています。


で、それでも空気を伝えたいんや!という人は頑張ってください。望遠レンズは引き算、広角レンズは足し算です。空気感を伝える為により広角なレンズを使い、より広い範囲を写し込むというのは制御出来ないパラメーターが増えることを意味しています。


スポーツ写真だけで飯を食えるかという議論には、広角レンズを使った写真が撮れるかどうかだという結論に個人的には至った。という所でこの序章を終えておきましょう。

>その1;要素と視線誘導

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