2012/01/30
海外通販の是非
今や、自転車乗りとは切っても切れない関係になってしまった海外通販。
ユーザーは、ショップは、代理店はどう付き合っていくのが最善なのでしょうか?
近年の海外通販でのパーツ及び完成車の価格の下落は目を見張るものがある。高額商品などは、海外通販で購入すれば国内の正規価格の半額以下で手に入るものもある。
更に、海外通販のメリットは在庫がほぼリアルタイムで解る事と、注文のキャンセルがしやすい事も利用しやすさを後押ししているように思う。日本の通販サイトは個人経営のショップがネットショップ開設用のプログラムを利用して作っているものが多く、非常に使い勝手が悪い。キャンセル出来なかったり、在庫の有無が注文後数日経ってからしか解らないなど、値段が安い事以外にはユーザーにその通販サイトを利用したいと思わせる事が出来ない。カタログ通販のカタログがウェブページになっただけで、ウェブ通販のメリットを最大限生かしきれていない。
しかし、こういったリアルタイム在庫連動型のウェブショップは、そのシステムを構築するだけでも高額の投資が必要だ。今から国内で「アマゾン」を真似たシステムを持つ通販型の店舗を開設するのは不可能に近い。資金が用意出来ない。倉庫となる巨大なスペースが確保出来ない。市場で競争力を持つための価格設定が出来ない。といった数多くのジレンマと戦う事になる。アマゾンが成功したのは、定価販売が原則である業界だからであり、今や値下げ合戦が起きている自転車業界では成功する余地が無い。
そんな中、一体「ユーザー」、「ショップ」、「代理店」はどうするのが良いのだろうか?
まず、ユーザーが海外通販を選ぶ事は悪く無く、単に消費者が購入先を選ぶという当然の権利を果たしているだけだということをはっきりとさせておきたい。
自由市場が存在する以上、そこに海外通販が参入してくることは止められない。
それでは、ユーザーは海外通販を利用し続けて良いのだろうか?
結論から書くと、マズイ。
というか、正直なところ一刻も早く海外通販で商品を買うことは辞めるべきだ。
自分は経済は専門外なので、自国の通貨の海外流出といった経済的な視点からの発言は控えるが、次のような事は解る。ユーザーが海外通販で商品を買えば買うほど国内での商品流通量は減る。国内での商品流通量が減れば、ショップと代理店の儲けが減る。そうなれば、代理店が商品を取り扱わなくなり、最悪の場合はショップや代理店の倒産に繋がるだろう。つまり、長期的に見れば海外通販で安く自転車用品を買うことは、日本の自転車産業の衰退に繋がるわけだ。
よく仲間内で新しいパーツを海外通販で買ったという話をしていると、ショップ経営者の人に「非国民」と冗談で言われるが、あながち間違ってはいない。長期的に見る場合、確実に日本という国に対して不利益をもたらしている。
しかし、消費者の当然の権利として、安いお店から購入する権利があるわけで、それを止めるわけにはいかない。
では、ショップや代理店は変われないのか。
自分はそういった中で働いた事が無いので、非常に抽象的な発言しか出来ないのだが、これ以上ショップの負担を増やす事は出来ないと思う。例えば、商品を仕入れて売る場合、必ず仕入れ値と売値が存在する。小売店はこの「売値-仕入れ値」の差額と、工賃で実質的な売上をあげている。自転車用品の仕入れ値は、一定の売上がある定価販売のお店ならば十分その利益でやっていけるだろうが、ガンガン値引きしているお店では苦しいように思う。
小売店は最早限界だと思う。今の状態でこれ以上小売店に多くを求めるのは非常に難しいだろう。
そういった意味で、代理店には期待している。
現在、代理店を通すと次のようになっているはずだ。
消費者の定価=小売店の工賃、保管料+小売店の仕入れ値+小売店の儲け+輸送費
小売店の仕入れ値=代理店の保管料、広告費+代理店の仕入れ値+代理店の儲け+輸送費
代理店の仕入れ値=メーカーの製造費+輸送費
ちなみに、輪界の給料の安さは折り紙付きらしい。つまり、儲けが殆ど無い状態で輪界全体が回っているか、一部の人間が(色黒のシャッチョさんとか)搾取しているのか…だw。
2010年のシマノ鈴鹿に新型のマセラティで来ていた色黒のシャッチョさんには色々な意味で驚いたが、そうではない代理店も数多く存在するはずだ。
しかし、部品の海外との価格差を考えると、「代理店の保管料、広告費+代理店の仕入れ値+代理店の儲け」のいずれかが非常に高いのではないか?と思う。基本的に、どこの国でも小売店の状況は同じだと思うので、パーツの価格は代理店の違いにあるのではないか?と想像する。
ちなみに、自転車の部品は殆どが課税対象にはならないため、関税はかからない。かかるのは消費税だけだ。一部の革製品やアパレルには税金がかかるらしいが、全体的に関税を言い訳にすることは出来ない。TPPが適応されたからといって、自転車パーツの値段が変わるわけではない。
そうなると、やはり代理店の保管料、広告費、仕入れ値、儲けのどれかが日本では高いのだろう。
自転車の輸入販売元の多くは関東や関西にあり、確かに倉庫を借りるのには沢山のお金がかかるだろう。日本の代理店はレースの協賛もしており、その際の持ち出し額は相当だと聞く。レースの規模をもっと小さくしたり、有名人を呼ばなかったりする事でコストカットは出来ないのだろうか?レースにタレントを呼ぶ必要は無いし、抽選会なんてどうせ当たらないんだから要らない。仕入れ値が日本だけ高いなら、それはメーカーに交渉するべきだろう。日本の仕入れ値だけが高いなら不公平だ。日本向けの製品はクオリティが高い物が要求されてコストが上がるなら、きちんとユーザーがB級品も選べるようなシステムが欲しい。正直、細かい傷が付いていても安い方が良いという人は多いはずだ。設けが極めて多いなら、多少なりとも消費者に還元して欲しい。慈善事業では無いのだから、代理店が儲けを出すことは否定しないし、仕事には対価が支払われるべきだと思っているので、悪いとは思わないが、流石に海外との価格差が2倍近くあるとそういった事も言えなくなってしまう。
まぁ、このあたりは妄想なので、間違っているだろうが、こういった考え方も出来るということだ。
早急に手を打たないと手遅れになってしまう。国内の自転車生産工場が無くなった次は、国内の自転車部品の代理店が無くなってしまう。長期的に見た理論的な経営戦略が必要になるだろう。
以下独り言
とりあえず、海外通販の値段が代理店の卸値(小売店の仕入れ値)より安いのは変だと思うぜ。
あと、メーカーの修理担当者が修理の時に通販で買われた商品か否かをググッてブログとか探して、それで通販で買われた商品だったら対応変えるとかいう噂を聞いた事あるけど、俺は絶対にそこのメーカーの商品使わないぜ。正規の購入ルートで購入された商品の修理や保証の対応を要求して何が悪い。
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海外通販をしていてかつレースに参加することのない消費者の立場からすると長期的にみても「海外通販をするべきではない」って論理がほぼ成り立たないのが海外通販を加速させている理由でもあると思う
返信削除なぜなら彼らは海外通販の検品と保証に満足した上でレースにも出ないのだから代理店スポンサーになっているようなレースがなくなってもほとんど不利益がない、小物を買うときは少々不便になるかもしれない程度だね
さらにぶっちゃけると消費者は代理店の経営を心配する必要もメリットも存在しない・・・
卸値より海外の方が安い理由がどこかにの造的問題があるなら消費者には手の出しようがないし買わずに危機感を煽ったほうがいいという論理も成立する。
商売は消費者に求められなきゃ潰れる、それだけ。
「買わない」という選択肢については僕も危機感を感じます。自転車業界については実感できませんが、野球畑から。
返信削除70年近くプロ野球の歴史もありますが、その中で身売りとか球団消滅ってのはけっこうあるんですよね。もちろん成績が振るわず、赤字で、運営企業が匙投げたってのが大半なんですけど。
僕の贔屓の某球団は最近ゴタゴタがあって、ツイッターでもいろいろあるんですが、その中で「運営体制に批判の意を示すために不買する」って言う人がちょいちょい見られるんですけど、それって結局自分の首を絞めてるんですよね。グッズを買わなかったり、現地に行かないってことは減収につながるので、のちのちの球団存続に関わります。実際某球団は客入りが少ないことが身売りの要因になってるわけだし。
赤字が出続ける体制ってのは問題ですけど、それを存続させようとするなら、そこにお金を出さないといけない。お金出さなかった人は「なんで無くなったの!赤字垂れ流しでアホか!」って言えないですよね。だったらお前が少しでも使っとけよって話で。もちろん一人ができることは微々たることなんですけど。
お金使わないと存在が無くなるってことは自転車業界と一緒かな、と思って場違いかもしれませんがコメントさせていただきました。愚痴っぽい乱文失礼いたしました!
他の分野の話、非常に為になります。
削除自転車業界は非常に閉鎖的で、業界内の人間は殆ど変わらないと聞いています。そんな現状を打破するには、異業種も参考にしなきゃダメだろうと思います。
>>通りすがりさん
返信削除そうですね。そういった現状を代理店が把握しているか怪しい所ですwwww。最近、代理店は現状が全く把握出来ていないんじゃないか?と思ったり…。殆どの代理店がそのうちヤバくなりそうで心配してますw