2012/01/25

【予想以上に】サドル沼 【深い】


自転車関係の沼にもサドル沼、ライト沼、軽量沼、カメラ沼…色々な沼がある。

今回はそんな中からサドル沼の話でも。


僕のスポーツ自転車歴は既に10年を超え、キャリア?だけはかなり長い自転車乗りに分類されるが、実は最近までサドルの悩みとは無縁だった。完成車に付属してくるサドルに不満を抱いた事は無く、乗り心地の為にサドルを交換する必要性は全く感じなかった。

しかし、一昨年の春、あるサドルに手を出した所からサドル沼にどっぷりとハマる事となった。

そのサドルはセラサンマルコ社のコンコールライト。最近ではランス・アームストロングが愛用したサドルとして有名だ。

僕がツール・ド・フランスを見始めたのが2003年。それ以来、毎年何らかの形でツール・ド・フランスを見ている。それ以前のツール・ド・フランスは、コッピやバルタリ、メルクス、ジモンディ、イノー、フィニョンとレモン、ボードマンなど、好きな選手は何人もいるが、全て過去の偉大なレーサーであり、あまり感情移入は出来ない。アームストロングは「It's not about the bike」という自伝を読んで知った。それ以来、リアルタイムで追いかけたお気に入りの選手だ。

Bianchiファンとしては、マルコ・パンターニやヤン・ウルリッヒを応援したい気持ちもあるが、最後に勝って欲しいのはいつもアームストロングだ。彼の勝ち方、考え方、全てが憧れだった。

そんな自分が彼と同じパーツに手を出すのは必然だったかもしれないw。

当時、1885に付いていたサドルはFizikのPave。完成車にしか設定されていないシルバーカラーが特徴だ。長時間乗ると痛みは出るものの、特に乗り心地には不満は無かったのだが、サドルとバーテープの色を合わせたかった。安く、カラーコーディネートも出来るという理由でコンコールライトを買ってみた。

ファーストインプレッションは「このサドル座りやすい」だった。インターネットで探した他の人のインプレッションに、「腰をどっかり落ち着けて乗る事が出来るサドル」と書いてあったが本当にその通りで、シッティングでグイグイ踏んでいく時に腰が動かず、パワーも出ていた。

しかし、使っているうちに無視できない問題と直面した。

1時間以上コンコールライトで乗ると、陰部が痺れるのだ。具体的に言うならば、サオが痺れて全く感覚が無くなってしまう。50kmほどまでなら数日で回復するが、100km以上のライドに出ると1週間以上痺れが取れない事もあった。

色々とサドル位置や高さを調整しながら半年くらい使ったのだが、結局改善される事は無かった。その後、大学の授業で「自転車とEDの関係」についての授業を受けたことがトドメとなり、コンコールライトを使うことを諦めた。

次に、同じセラサンマルコ社のリーガルも試したが、これは痛くて座る事すら出来なかった。

ちなみに、コンコールライトもリーガルも多くのプロが愛用する名サドルだ。乗り方が悪いのかと思って色々と調整したが、結局この2つのサドルは僕には合わなかった。

そして、現在はセラサンマルコ社のアスピデを愛用している。現在、4台の自転車のサドルがアスピデだ。アスピデのアローヘッドやマントラも試してみたが、どうも穴あきサドルは穴のエッジ部分と触れる部分に痛みが出やすいように思う。

こういったことを纏めると、僕はサドルトップがわずかに湾曲していて、サドル中央に溝が切ってあるタイプの非穴あきサドルが好きなようだ。

例えば、Fizikのアリオネは僕には座面がフラットなため、陰部が痺れる。同様にセラサンマルコのゾンコランもダメだ。セライタリアのSLRはリーガルと良く似ているのか、センターが盛り上がっていて、お尻が落ち着かない。こうやって色々なサドルを使ってみると、今までサドルで困った事が無かったのは、偶々完成車に付属してきたサドルが自分に合っていただけのようで、これは凄く珍しいパターンかもしれない。

僕の持論なのだが、サドルとの相性は「ベースの形状」が自分の骨盤と陰部の形状と合っているか否かに大きく左右されると思う。つまり、どんなにパッド量が多くても合わないサドルは合わないし、その逆もあり得るということだ。

個人的に、自分にフィットしたサドルを探すコツは、まずは同一メーカーのサドルを何種類か使ってみる事だと思う。各メーカー色々なコンセプトに基づいてサドルを開発している。色々なメーカーの色々なコンセプトに振り回されるよりも、一つのメーカーとトコトン向き合ってみるのも悪く無いように思う。

自分は先ずはセラサンマルコ社の商品を片っ端から試してみた。もちろん、周りの人のセラサンマルコ社のサドル使用率が高かった事もあるが、一番の理由は重量だった。サドルの重量はダンシング時の振りの軽さにダイレクトに影響する。同じ軽量サドルメーカーなら、2003年のTeam Bianchiやパンターニのスポンサーだったセライタリアでも良かったのだが、SLRの座り心地がシックリ来なかったため見送った。

逆に、僕はFizik社のサドルは使おうと思えない。スパインコンセプト自体は素晴らしいと思うし、賛同出来るが、Fizik社はサドルトップの形状に応じてパッド量が殆ど決まってしまう。よって、自分に最適なブルタイプのサドルは重量がかさみ、金属レールのアスピデとカーボンレールのアリアンテが同じくらいの重量になってしまう。さらにカーボンベース剥き出しのサドルが無いのもマイナスポイントになる。未だに厨二病全開なので、フルカーボンサドルという厨二パーツは大好物だ。今使用しているアスピデスーパーレジェーラを購入する前は、真剣にTuneやAx Lightnessのフルカーボンサドルを買おうとしていたくらいだ。ちなみに、この2社のパーツは日本で買うと高いが、ドイツ本国から取り寄せると驚くほど安く買う事が出来る。

サドルは乗っている時は乗り心地が求められ、ライダーが降りるとデザインの良し悪しが問題となる。自転車のパーツでこのような2つの欲求を満たすパーツはサドル以外に無い。非常に難しい2つの注文を両立させるよう、各社本当に頑張っていると思う。人が良いと言うサドルが自分に合うとは限らない。

自転車のパーツはどれも使ってみないと解らない。サドルも例外では無い。オークションには大量の新古サドルが出品されている。まず試してみるだけなら新古品で十分だ。更にサドルは意外とリセールバリューも高い。本当に気に入ったら、気に入ったデザインの新品を買えば良い。まずは買って試してみる所からサドル沼は始まるw。

注)使い込んだ中古サドルを買うのはなるだけ避けましょう。中古のサドルはベースがヘタってしまって、形状が新品の時とは違っている事が多いです。ベースがヘタるとクッション性が落ち、乗り心地も悪くなります。中古サドルでは、そのサドルの正当な評価をすることは出来ません。

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