さて、先日発表されたコルナゴへの反響が凄かった為、「ロードレーサーに油圧ディスクブレーキ」という記事を書きましたが、慌てて書いた為、いくつか触れられなかった内容があります。
今回はそんな前回の記事に対する追記的な記事です。
・リムの選択肢が増えるメリット
ご存知の方も多いと思いますが、現在MTBで急速にシェアを増やしている29erのリムは700cのリムと同サイズです。MTBではチューブレスが既に普及しており、その技術を転用することが可能になるでしょう。高圧に耐える事が出来るか?という疑問もあるのですが、技術開発が進めば無理では無いでしょう。
つまり、700cのチューブレス化が推進されると考えられます。
・電動コンポーネントが一般化する
既にシマノのロードコンポの違いという記事で触れたように、シマノは電動コンポをより一般的なものとしていきたいのでは?と書きましたが、この動きが後押しされるのが油圧ディスクブレーキの導入でしょう。
前回の記事の最後にちょろっと書きましたが、油圧ディスクブレーキを採用するのであればブレーキレバーにリザーバータンクが必要になってくるため、従来のラチェット内蔵型の変速システムとの組み合わせではSTI/エルゴが巨大になりすぎるというデメリットが無視出来ないものとなります。
電動コンポであれば、ラチェット機構がスイッチに取って代わられているため、STI内にリザーバータンクを内蔵することが出来ます。
あくまでも、油圧ディスクブレーキは電動コンポあってこそ…。これは覚悟しておいたほうが良いでしょう。
みこちんから指摘されました。
SRAMは今度、ワイヤー式コンポで油圧ディスクブレーキ採用しますね…。確かにダブルタップはメカ自体が凄く小さいwwww。
・空力のメリット
ちょっと各社から出ているMTB用カーボンリムを調べてみたのですが、左右非対称では無いものが多いですね。
つまり、ブレーキ面を考える必要性が無い為、ZIPPのファイヤークレストをより過激にしたような形状のリムが沢山出てくるような気がします。
チューブレスなファイヤークレストとか出てくるんかな?とか色々な妄想が膨らみますね…。
・耐フェード性が向上
ディスクブレーキのほうがリムブレーキよりフェードしやすい…という情報がここ数日、Twitterで流れていますが、僕から言わせれば「んなアホな。」という感じです。
確かに、通常のアルミリム+クリンチャーと比べるとディスクブレーキのほうが耐フェード性は低いかもしれません。しかし、最近のディスクブレーキは凄い勢いで進化しており、MTBでかなり長い下りを下っても殆どフェードすることは無くなっています。
明らかにカーボンチューブラーリム+リムセメント+チューブラーという組み合わせのほうがフェードしやすいです。
ハッキリ書いておきましょう。低級グレードのディスクブレーキを使わない限り、耐フェード性は向上すると考えて良いと思います。
ちなみに、フェードというのは、ブレーキパッドが熱変性して摩擦係数が大幅に下がるorブレーキフルードが沸騰してしまう事によって発生します。
・カーボンリムの寿命が向上
上に書いたように、熱問題及び摩擦による摩耗が無視出来るようになります。先日発売された雑誌にあった「カーボンフレームはヘタラない」という記事を信じるなら、カーボンリムは大きな衝撃で割れない限り永久に使えることになります。
ENVEなら一生モノですね()
[注]
個人的に、例の雑誌記事はかなり眉唾だと思っています。サンプル数が少なすぎる/マーケティングの為の結論ありきで考えている/文章構成のマジックなど、ちょっと考えたら解るはずです。
そもそもカーボンなんていうのはCFRPという名前の通り、カーボン繊維を樹脂に混ぜる事で樹脂の強度を上げる事を主目的とした素材です。つまり、カーボンは添加されているに過ぎません。樹脂は紫外線と繰り返しかかる応力により徐々に劣化していきます。このあたり、結構勘違いされている方が多いのではないでしょうか?
色々と書いてみましたが、まだまだ色々なメリットデメリットが出てきそうですね。個人的には、リザーバーとスイッチだったら、かなり簡単にSTIのサイズ(太さや長さ)を可変式にする事が出来るな…と思ったのですが、ちょっと藤原ヱンジニヤリングレベルでは企画/設計は出来ても制作が出来ないですねw。どなたか製造出来る技術力がある方がみえましたら、声をかけて頂ければ…w。
死ぬほどハードな環境で使われる航空機のカーボン見ると劣化は相当遅い気もする
返信削除まああの辺はUV対策もコスト度外視でやってそうだし自転車と直接比較はしちゃいけないんだろうけど
ん~その辺りは難しい議論になりそうですね~。
削除僕はそっちは全く詳しくないのですが、多分使ってる樹脂やかかる応力の方向など、色々と違う場合かな?と。誰か詳しい人が解説してくれたら楽しいなぁw