さぁ…ついにTREKから発表されました。カンチェラーラスペシャル。
未だか未だか…と思っていた人は多いはずです。少なくとも、僕は待ち望んでいました。
一言で言ってしまうのであれば、現在最強のスペシャライズドのラインナップにガチで勝負を挑んだ感じです。スペシャライズド社はプロ供給モデルをS-WORKSと差別化し、更に用途毎に3種類ものロードレーサーを販売しています。エアロロードのVENGE、クライム用のSL4、パヴェ用のルーベです。
スペシャライズド社に関しては好き嫌いが分かれるところですが、個人的には"全くスキが無い"ラインナップだと考えています。用途毎、脚力毎に異なったフレームを提供して、更にそのモデルと使用用途が一目瞭然です。
僕の中ではTREKは、未だランス・アームストロングの呪縛から抜けだせていない、基本設計が古いバイクというイメージが強いです。レースバイクとしては柔らかめの味付け、オールラウンドモデルへの拘り、いずれも悪い拘りでは無いですが、現在の"トレンド"とは相容れません。
現行のMadoneは乗った事がありませんが、長い間TREKのロードはマイルドな優等生として制作されていました。それゆえ、パリルーベなどの悪路を使用したレースでも「特別なバイクは必要無い」といったセールストークが成されてきたのです。しかし、ちょっと考えたら解ることですが、そういった特殊な環境に特化した自転車というのは乗っていて楽で、結果的に速いのです。
この辺りに昨年、カンチェラーラが突然勝てなくなった説明がつくように思います。ガチガチのバイクと悪路走破用のバイクを乗り換えて、場面毎に最適化されたバイクを臨機応変に使い分けてきたライダーに、「この一台で何とかしといてや~」と言っても苦しいでしょう。
前置きはこれくらいにしておいて、Domaneの技術的な側面を見てみましょう。
まず、一番の売りは"IsoSpeed"でしょう。トップチューブとシートチューブを一体成形したケストレルのようなフレームにシートチューブをエラストマーを介して装着、更にその接点にはベアリングを導入して動きの自由度を制御しています。乗り心地とトラクションの確保という目的に対して、スペシャライズド社のルーベとは違ったアプローチですが、どちらも一理あると考えています。
例えば、スペシャライズド社のルーベ、更にピナレロ社のONDAはベクトルの方向をオフセットしつつ、オフセット点にエラストマーやカーボンを過剰に入れ、意図的なピポットを作る事で乗り心地とトラクション性能を向上させています。ある意味、非常に小さいストローク量のサスペンションがフロントフォークとリアのシートステーに存在しているという認識で良いと思います。これは、ダウンチューブ~BB~チェーンステーの剛性を高く取る事で可能な技術ですね。スペシャライズド社はこの部分を一体成形している事からも解ると思います。
一方、TREKは異なるアプローチを取ってきました。僕はこのシステムを見た時に、キャノンデールのスカルペルとソフトライドのシステムのいいとこ取りだなぁ…と思いました。
いずれも実際に乗って走った事は無いですが、先日訪れたプレミア神戸で跨らせてもらったソフトライドのシートビームのしなり方は正にサスペンションと言って良いレベルでした。ソフトライドはシートビームが地面と水平に出る為、サドル高が変わってしまうという欠点があるのですが、Domaneでは地面に垂直に(当然、やや傾けてありますが)出すことで、サドル高が変化する事を最大限避けようとしています。これはキャノンデールのスカルペルがカーボンチェーンステーをしならせる事で重量軽減とサドル高が変化することを防いでいる事と一緒ですね。いずれにしろ、既存のシステムを良く研究していると思います。
さらに、フロントフォークはキャノンデールのマイクロサスペンションのモロパクリですねw。完全に一致しています。
というか、見るとキャノンデールのSPEED SAVEを過剰にさせたのがDomane…という感じです。
台湾で製造工場や開発しているメンバーが行き来しているんでしょうか?色々と邪推出来ますが、あまり敵を作りたくないので、この話はこの程度にしておきましょうw。
カーボンそのものが向上したというよりは、カーボンの積層とその硬度をコントロールする技術が上がったから可能になったフレームですね。多分、60tカーボンを中心に製造しているので、素材にもキッチリお金をかけているのでしょう。
このモデルが登場した事により、Madoneシリーズは確実に硬さを求めた設計に変更されるでしょう。というか、今後、エアロロードとクライム用ロードの2種類が発表されるかもしれません。Madoneはクライム用ロードとしてアップデートされ、新型のエアロロードが発表されるかなぁ?と思っています。
完全にスペシャライズドに引っ張られているなぁ…と思いますが、TREKはこれで良いんでしょうか?最近は完全にスペシャライズドが優勢ですねぇ…。
各メーカーの主要なモデルを研究して作られたのは明白なので、悪いはずがありません。非常に期待出来るバイクです。
と、完全な素人が独断と偏見に基づいて新型モデルを考察してみましたとさっw
【追記】
Domaneという名前ですが、ラテン語で王の冠を意味する単語のアナグラムだそうです。(ソースはこちら)
後日発表された2013年のMadone 7シリーズの記事はこちら
現行マドンはめっちゃ硬い!
返信削除たかはしんごさんどうもです。
削除ほうほう。それでは、Domane発表に先立って締め上げてきたんですかね?面白い流れになってきましたwww