2011/12/24

自転車のフレームのお話(その2)

フレームの耐久性のお話です。

まず、一般的に言われているフレームの寿命は2万km~3万kmといった所でしょうか?
手元にある「ロードバイクビギナーズ」という本にはそう書かれています。

個人的には全く違った意見を持っています。


フレームは「美味しい所」と「まだ使える所」の2段階を経て寿命を迎える(壊れる)と思っています。

以下に示すのはあくまでも個人的に考えている目安です。絶対に大丈夫な距離の目安だと考えてください。もっと使えるフレームも多いです。

*この記事は2011年の記事です。最近のフレーム設計は大きく変わったので、この記事は今は全く参考にならないと思います。

アルミバイク
・超軽量モデル(1300g未満)
→美味しい所1000km
→まだ使える所10000km

・中堅モデル(1300〜1600g)
→美味しい所2000km
→まだ使える所15000km

・普及モデル(1600g以上)
→美味しい所5000km
→まだ使える所20000km

アルミフレームは寿命の議論が非常に難しいです。素材の特性、メーカー毎の設計の違いなど色々なファクターがあります。
美味しい所を過ぎると乗り心地が良くなり、踏んでも加速しなくなっていきます。
錆びないと言われるアルミフレームですが、キッチリ錆びていきます。フレーム内部の処理をするだけでも寿命はかなり伸びるようです。
軽量アルミフレームの美味しい所が短すぎるだろ!という意見をTwitterで頂きましたが、軽量なパイプはアルミ缶と同等の厚さしか無いわけで…、あっという間にダメになります。参考までに、2003年のTDF(ツール・ド・フランス、TourDeFranceの略)でTeam Bianchiはヤン・ウルリヒの為に2~3ステージおきに新しいフレームを準備したそうです。距離にして丁度1000kmくらいですね。これは彼に限った話では無く、当時アルミフレームを使用していたチームはどこも同じような事をしていたようです。

カーボンバックが接合されたモデルに関しては全く寿命が解りません。アルミのヤレとカーボンのヤレとそれを接合している接着剤(樹脂)の劣化といった3つのファクターが関わってくるからです。フルアルミよりも短いと見て間違い無さそうです。


カーボンバイク
・フラッグシップモデル(フレーム重量1000g以下)
→美味しい所10000km
→まだ使える所15000km

・ミドルグレード(フレーム重量1300g以下)
→美味しい所10000km
→まだ使える所20000km

・廉価モデル
→美味しい所10000km
→まだ使える所15000km

カーボンに関しては、樹脂が大丈夫なら乗れます。その為、製造後5年~10年を目安に樹脂の劣化が無視出来なくなるため、距離が伸びていなくても乗り換えた方が良い場合もあります。逆に上手に乗ってあげれば距離はかなり乗れるはずです。
美味しい所を過ぎると段々「ユルく」なっていきます。
ヨーロッパのトッププロは年間3万km強を走り、その間にメインバイクとスペアバイク、TTバイクを支給され、落車で壊れなかったらその3台で一年通して走ってしまうそうです。TTバイクでは年間3000kmくらいしか走らないと聞きますから、一台のバイクを15000kmくらい使う計算になります。エースクラスでも年間4台か5台の供給しか受けられないと聞きます。実際にプロの使用したバイクを何台も購入した人に聞いた話ですが、プロの使っていたバイクは完全にヤレているそうです。そういった話を総合して考えると、僕の算出したフレームの寿命は結構当たっているのじゃないかと思います。

チタンやクロモリは素材の寿命よりも、溶接部の寿命のほうが先に来るように思います。理論上は永久に使えるはずなんですが、設計や溶接によって大分変わってきますね。


このような議論をTwitterでしていたら、「一年で走っちゃう距離じゃん…。」とか「高い金払って2年弱で終わるのか…」というリプライを頂きましたが、自転車も機材です。消耗します。永久には使えません。悲しい事ですが、そういった買い替えスパンを考えて購入するべきでしょう。買い続ける事が出来る値段の機材を使うのも大人の行動です。

一度、中堅モデルのアルミバイクだったら5万km使えるという話を聞いた事もあるのですが、流石に無理だと思います。バンクなどの路面の非常に綺麗な所で乗るなら使えるのかもしれませんが、日本の公道では無理です。元構造屋と言っても、都市建築学科にいたのでこの辺りは専門に近いのですが、日本の道路は舗装は綺麗なのに至る所に継ぎ目があり、実際には非常にラフです。ヨーロッパ車がヨーロッパでは数十万km使えるのに、日本では十万km少々で寿命となってしまうのもこの辺りに原因があります。

通勤でも乗るライダーには、その年購入したバイクをレース用とし、前年のレースバイクを通勤で使い、その前の年のバイクは売るなり飾るなり…というスタイルをオススメします。

自分の周りのシリアスレーサーに個人的な意見として勧めているのですが、パーツの美味しい所だけを使って、美味しい所が残っているか残っていないかのうちに(まだ値段がつくうちに)売ってしまって、そのお金にちょこっと足して次のパーツを買うというスタイルが一番良いように思います。もちろん、お金に余裕が無いと無理ですが、かなり賢い(でもちょっとズルイ)やり方かと。

例えば、ホイールなら5000km使ったら買い換えてしまうというスタイルですね。ホイールの寿命も1万km前後なので、絶対に壊れない範囲内で買い換えてしまうのも一つの方法です。壊れる前に手放せば値段がつきますが、壊れてしまったらタダです。と、言っていたら、部活の先輩のレーシング1が3000kmでスポークが折れたんですけどね(;^ω^)ちょっと3000kmは早すぎると思いますが…。多分不良品でしょう。

僕などは使っている間に愛着が湧いてしまって手放せなくなってしまうのですが、自転車を機材として一歩引いた所で考えているならこういった方法は一つの方法としてアリだと思います。

ちなみに、ここに示したのはあくまでも一例です。

僕は過去に普及モデルのアルミフレームを2000kmで割った事があります(本当にパキパキという音と共に割れました)し、体重100kg超の友人は普及モデルのアルミフレームが1万km行かないうちにポキポキ折れ、何台か買い直しています。参考までに彼が折ったフレームの写真をw


知り合いの話を総合して聞いていると、体重80kg以上の人の使う自転車やパーツの寿命は指数関数的に短くなっていくように思います。そういった例外まで考える事は中々難しいので悪しからず。

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