2011/12/12

旧ITMのハンドル形状について(備忘録)


ITMは自分が最初に見たツール・ド・フランスでTeamBianchiが採用しており、当時のミレニアムシリーズは高くて全く手が届かなかったパーツだ。後年、2005年のLiquigasチームもITMを使用しており、憧れのブランドだった。


しかし、金銭的にITMのパーツが購入出来るようになった時には、ITMは既に廃業していた。ITMは元々は家具メーカーで、最初は安価なパーツを生産していたが、80年代後半からプロ供給を始め、90年代後半から2000年代初頭にかけて爆発的に流行した。

だが、ITMはハンドルやステムのカーボン化が進む流れに完全に取り残されてしまう。最終期のITMが生産したフルカーボンモノコックのTTハンドルを持っているが、エアロバーの直径とそれを入れる穴の直径が1mm違い、加工しないと組み立てすら出来なかったり、彼らのカーボン技術は非常にお粗末だった。カーボンのみでは精度や強度が確保出来ず、アルカーボンの商品しかラインナップとして販売出来ず、重量面で非常に不利となってしまうアルカーボンパーツは市場に歓迎されず、全く売れなくなってしまった。

さらに、超軽量ハンドルThe Barと超軽量ステムThe Stemの品質も悪評を買った。今でこそ、折れても笑うだけで済ませてしまう軽量マニアが、100gそこそこしかないthe STEMを改造して使うため、値段が上昇しているが、当時は酷評されていた。OSのハンドルバーが正義!って言っていたブランドが軽量化のためにワザワザノーマルサイズのハンドルとステムをOS最盛期に売り出すとか…。しかも、ハンドルは異常にしなり、ステムは折れる。どうみても失敗です。本当にありがとう(ry

こんな感じでプッwと笑われるエピソードが多い旧ITMだが、結構マトモな事もやっていたのだ。

例えば、旧ITMのカーボンパーツの表層の樹脂は応力が過大にかかるとクリアから白色に変化するようになっている。クラッシュしたり、経年劣化したかな?と思った時は表層の樹脂が変色しているか否かで判断すれば良いという技術を持っていた。

今でも愛用者が多いアナトミック型のハンドルの先鞭をつけたのも旧ITMだ。旧ITMのハンドルは下ハンの握り心地が好きで愛用しているが、今も多くのメーカーが旧ITMのハンドル形状に影響を受けている。

Millenniumシリーズは7005系アルミを使っているが、非常に薄く作られており、意外としなる。使ってみると、モガイた時やクライム時には不満の無い剛性を確保しながら、悪路ではしなるため乗り心地は良い。

近年、台湾の企業にITMというブランドが売られ、ITMが復活した。ブランドロゴなど継承している所もあれば、製品のデザインなどは全く違ったものになっている。さらにフレームやホイールも商品として販売しており、旧ITMに憧れていた自分には中々キツイ。

というわけで、最終期の旧ITMが販売していたハンドルのドロップとリーチを記載しておく。

アナトミック
ドロップ:178
リーチ:112

STI
ドロップ:169
リーチ:116

エルゴノミック
ドロップ:155
リーチ:95

一応、ネットのキャプチャも貼っておく。


今見ると化石のようなドロップ量とリーチだが、意外と使ってみるとシックリ来る。まぁ、ドロップ量が多すぎて、低身長のライダーがステムベタ付けで使うとUCIルールに引っかかるんだけどw。その辺りを改良したのが、現在のFSAのハンドルだと考えていたりw。

ステムベタ付けの写真。これ、完全にUCIだとアウトになるw


現在、1885にエルゴノミックの42を、CentoStradeにアナトミックの42を使っている。

*ITMのハンドル幅は外-外表記になっているため、芯-芯表記に換算する場合、-2cmしなければならない。

ITMが廃業した直後、日本で当時ITMを取り扱っていたINTER MAXが在庫を一気に処分したため、既にITMの国内在庫は殆ど無くなっており、海外在庫もかなり少なくなってきている。
今はオークションに出品される、Bianchiに供給されていたチェレステカラーのモデルを細々とコレクションしているが、殆ど出て来ないです。

今後、新しい自転車を導入するなら3TかDedaを使っていく予定。
TTバイクを組んだ辺りから、自転車に対する考えかたが変化してきていて、近所の自転車屋に行けば普通に売っているようなパーツで組まれた、普通の自転車をレース用に購入したいと考えているため、何処にでも在庫がある3TやDedaが良いだろう…と。この辺りについては、又後日記事として纏める予定。

今となってはこのサイトなど、見てて悲しくなるだけだ。



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